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2005年12月20日

ソコルスキー実践:12〜ビアス『自動チェス人形』

 今朝やっと電気毛布を使ったが、最弱にしてもけっこう熱くてかえって寝付けなかった。着る物や布団で調節するしかない。子供の頃は親戚の家で大叔父が 使っ ている電気毛布がうらやましかった。「子供は風の子」とよく言われて豆炭式あんかも使わせてもらえなかったことを思い出した。


A. P. Sokolsky "The Modern Openings in Theory and Practice"
第2章 センターのマス e4のマス 戦略拠点占拠のためのポーン サクリファイス 12

 1962年の第15回オリンピック、ボトビニクポーマー戦では、白はe4にナイトを保持するためにポーンをサクリファイスし た。
 キングズ・インディアン・アタック。1. g3 d5 2. Nf3 c5 3. Bg2 Nc6 4. d3 e5 5. O-O Bd6 6. e4 d4 7. Nbd2 Nge7 8. c4 f6 9. Nh4 Be6 10. f4 exf4(ゲームをオープンにするのは白に好都合。10...Qd7から 0-0-0とする方がいい) 11. gxf4 Qc7 12. e5!









r3k2r/ppq1n1pp/2nbbp2/2p1P3/2Pp1P1N/3P4/PP1N2BP/R1BQ1RK1 b kq - 0 12

 大事なセンターポーンをサクリファイスした! 白のすばらしい狙いは、センターのマスe4を占拠し、2つのビショップのためにダイアゴナルを開くことで ある。ゲームが進むにつれ、白のピースは徐々に活動的になっていく。
 12... fxe5 13. f5 Bf7 14. Ne4! O-O-O 15. Qg4! Kb8 16. Qxg7 Bh5 17. Rf2 h6 18. Bd2 Rdg8(gファイルで何らかの反撃を試みる。しかし、黒ピースの配置がそれに見合うほどではないため、失敗に終 わる) 19. Qf6 Nc8 20. Ng6! Bxg6 21. fxg6 Be7 22. Qf7 Nd8 23. Qf5 Bh4 24. Rf3 Ne7 25. Qh3 Nxg6 26. Nf6! Bxf6 27. Rxf6 Qe7 28. Raf1 Nf4?(敗勢でのミス) 29. R6xf4! exf4 30. Bxf4+ 1-0


 アンブローズ・ビアスの『自動チェス人形』を読んだ。単独で取り上げるには短い作品なのでここで紹介す る。『悪魔の辞典』で有名なアメリカのジャーナリスト〜作家Ambrose Bierce(1842〜1914?)の本作が、松戸市図書館サイトで検索しているとたまたま引っかかったので、入っている短編集を借りてきたのだ。
 原題はMoxon's Masterといい、"Can Such Things Be?"(ありうべきことか?)というタイトルで1893年に出た短編集に収められている。私が読んだ東京美術の『ビアス選集 第3巻  幽霊I』には同短編集の半数が収められているが、本作だけが『自動チェス人形』と分かりやすいタイトル訳になっている。

 そのおかげで読めたのだが、ウェブ検索すると「朝霞チェスクラブ」のギャラリーでも扱われ ていた。Tomomiさんの読んだのも同じ奥田俊介訳で、原文が高校の英語の教科書に載っていた(!)とはいえ、これがチェスをするきっかけになったとは ちょっ と驚きだ(笑。
 訳者は大学院生時代からビアスに入れ込み、念願かなって全集の一部を担当することになった。巻末で辛辣な批評家ビアスの波瀾万丈な生涯を概観しているお かげで、この奇妙な怪奇短編に込められた作者の思いが、私のような門外漢にも少しは理解できるような気がした。

 フィクションのネタばれはよくないが、少し内容に触れよう。「私」(語り手)に、機械も思考していると説くマクソンは、秘密の部屋にロボットを隠してい た。我慢できずに私が覗き込むと二人はチェスをしていてマクソンが勝つのだが…。
 本作には、いわゆるオートマトン「トルコ人」やそれを扱ったポーの著作(未読(汗))の影響があるのは言うまでもない。訳は格調高いが、今となってはい ささか 古くて('71年)仰々しい。チェスの細かい描写はないのでやりがいはないが、私もフィクションに初挑戦してみようかしらん。

 訳に出せないのが残念だが、Masterには、ロボットに対する主人(人間)とチェスのマスター(名人)の2つの意味がかけられていると思う(タイトル だけ見ると後者のようだが)。原文はここで読め る。私が読んだ訳本は絶版で、短編「選」集に入るほどの名作ではないからか、他の訳者のタイトルが違うからか、他のを見つけられない(汗。
 奥田訳はその後ちくま文庫に入ったらしいが、amazonにはなぜかなし。『モクスンの傑作』(『フランケンシュタインのライヴァルたち』所収)とした 仁賀克雄訳もない。すると、Literary Chess Agoraという素敵なサイトで和訳されてる方を発見した。チェスの出てくるフィクションを扱っているようだ。
つかのまの悪夢
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この記事へのコメント
私は千円の電気あんかをふとんに入れて寝てます。これがなかなか良い。
小説、書いてみたいですねえ。ネタはいくつかあるんですが、そのひとつは「トルコ人」を将棋に置き換えたもの。舞台は浅草の見世物小屋で、幸田露伴なんかが出てくるの。箱の中に誰が入ってるかはまだ秘密です。
その参考にする意味でも、ビアスは読んでおくべきかな。知りませんでした。朝霞のギャラリーは目を通したつもりだったのに。
Posted by maro_chronicon at 2005年12月20日 22:21
 たしかに「あんか」は安価でいいですね(汗。スリッパ型の足下暖房機は妙に高いのに。
 『メルツェル〜』に以前触れられてたのでコメント来るかなと思ってましたがmaroさんが未読とは意外でした。
 私はフィクション(の訳)にも挑戦という意味で書いたのですが、異説「トルコ人」おもしろそうですね。平賀源内も出てほしい(笑。
Posted by 水野優 at 2005年12月21日 13:31
書き出しは昭和戦前、名誉名人小菅剣之助が木見金治郎宅を訪れて、そこでお茶を出してくれた将棋修行中の大山康晴少年に、「○○を知っておるか、君にどこか似ておったが」と声をかける。そこから昔話が始まり、舞台は一気に明治の20年代までさかのぼる、という筋書きです。
源内か、、、では、「箱」は源内が作ったもので、それが明治まで残されおり、たまたま見つけた「○○」がもぐりこんで出られなくなったまま将棋人形として生き続けることになった、としましょうか。やりすぎかな。
Posted by maro_chronicon at 2005年12月21日 21:08
 なるほど、源内だとかなりさかのぼることになるかあ。
 ところで、HPからChessChroniconと戎棋夷説をリンクしますね。よかったらうちのどちらかリンクしてくださいませ。
Posted by 水野優 at 2005年12月22日 00:28
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